【姉が書いた小説】龍円 ~嵐のサーキット荒らし~
F☆NFより ─
“健一君へ” このままもう一周してブレーキふんで止めてくれないか? (最後の方はパニックで、書いた本人もなんだかわかってないらしい) 「こんなわかりにくい文章でわかってくれますかね」 「わかってくれるさ、ハートがあればな!」 その熱いハートが通じたのかどうか知らんが、健一はわかってくれたようだ。 『もう一周するんか、面倒だな。どうやって止めるか教えてくれりゃいいのにさ。高速道路の要領でやりゃいいんだな。じゃ、そうしよ』 「わかってくれたようです!」 「おーし、スピード落ちてきてるぞ」 「アイツオレヲマカシヤガッタ・・・」 「あ、Aさんいたんだ」 「そういや負けたんですよね」 「ッカー!アンタナゼオレノソンザイワスレルノカ!」 ブチ切れたA氏は無敵である。A氏は、目の前のスタッフに飛びかかろうとしたが、周りのスタッフに止められて、羽交い締めにされてしまった。 「バカ、なんて事いうんだお前は。もう手がつけられないぞ!」 「すいませ~ん。ついつい興奮して本当の事を言ってしまいました~」 「本当の事言うのにも限度があるぞ」 「そうだそうだ、本当の事言うのもいいかげんにしろ」 「本当の事も休み休み言え」 「ウッケーッ! @-¥543:◎☆§」 ついにA氏はトランスしてしまった。もう我々の手が届かない所へ行ってしまったのだ。可哀想なA氏・・・・・・。 「オマエラゼッタイコンヤオカズノトンジルオマエラノブンマデクッテヤルカラナ!」 「まあまあ、たかだか一敗したくらいで・・」 「アンナプータローノアンチャンニマケルナンテシンデモシニキレナイネ!」 「死ぬだなんて縁起でもない、あ、健一君。気分はどうだい?」 「はい、あ・・・あの」 「!MFURI789”“↓↑ 〒~・→←!」 「Aさん今こんなだから、近付かない方がいいよ。あっち行って話そう。あ、先輩、後お願いします。でも君凄いね、Aさんに勝っちゃったよ。」 「なんか楽勝でした」 「オマエハリタオシテヤルサカイソコウゴクナ!」 「どうしたんですか、あの人」 「今荒れてるんだ」 「☆☆☆§§§§!」 「何かの暗号ですか?」 「違うよ、興奮して何言ってるのか自分でもわかってないんだよ」 「0QDFQBD@(¥W@R」 これ以上ここにいたら、八つ裂きにされるかもしれん。という考えが浮かんだ。筆者もそう思うから、暗くなる前にとっとと帰んな。 そのくらいA氏はクレイジーで、パニッシャーで、トランスなので、おそらくあと三十秒くらいでそれは現実になるだろうね。ケケケケケ・・・。 「僕もう帰ります」 うん、人間ミックス状態になるからね。 「うん、悪かったねせっかくの休日にさ」 「Aさん全然落ち着かなかったけど、大丈夫なんですか?」 「いいんだ。ポリンキーとドンタコスやっとけば落ち着くから」 じゃあレースはなんだったのか・・・。 「じゃ、僕帰ります」 もう二度と関わるもんか。と心の中で思った。 健一は怪しげな集団を残して、サーキット場を去った。 すると・・・「おーい、健一くーん、待ってー」 Jが物凄い剣幕ですっとんできた。紙でも鉄でも食ってしまいそうな勢いだった。逃げようと思ったが、Jの足の方が速かった。 「これ、僕の連絡先。君、レーサーの素質があると思うよ。もしよかったら、トレーニングしてみない?僕達と一緒にレインボーロードを走ってみないか!?」 一瞬断ろうと思ったが、Jの情熱が凄すぎてとうとう受け取ってしまいました。 Jからもらった名刺には、なぜか日本の電話番号が書いてあった。 「しばらく日本にいるから、たぶん通じると思うよ」 無責任な野郎だな。普通自宅の住所とかだろうが。と、思ったが、もうあんまり関わりたくもなかったので、たいして何も言わなかった。 「うん、また連絡するよ。じゃ。」 一言どうでもいいことを言って、その場を静かに立ち去った。カール・ルイスのようなフォームで。 その後、健一はなんとか無事に家までたどりついたのだった。 「しかし、勝ったのに負けた気分だぜ、なんだろうこの胸にある敗北感は・・・・」 |
三日後
健一青年は、朝からフライドチキンを揚げていた。なんか油臭くて時々リバースしそうになったが、それを我慢したら楽勝だったのでうまいぐあいにやっていた。「サクッとね~、サクッとね~、情熱的にサクットネ~ ウシャウジャチャカチャカ滋養熱系でバンバンボンボン・・・・」 (これは彼の自作の曲で曲名は情熱系ニワトリダンスである) 「ミディアム・ウェルダン・レアってばさ~ ウチのチキンは薬品たっぷり~、君は瞼を閉じて~ 一口食べたら~、覚悟しな~、僕は病院送り~ ウソ世界なのさ~、ダンダン・・メ」 「山崎君!」 店長のウラオモテハゲが怒鳴った。 「そんな歌、店で歌ってはイカンッ」 「じゃあ外で歌います」 「外で歌ってもイカンッ、君はなんでそう店の売上を落とすような事をするんだ!客席に筒抜けだぞ」 「これは真実を告げるメッセージソングです。真実を知らないヒヨコたちに、ウチのチキンは高濃度の農薬を使っているんでしょ」 「そんなヤバイ物使ったら、とっくに俺は捕まってるんだよ!どうすんだ客が一人もいなくなったじゃないか!」 「じゃあ店閉めましょうか」 「それじゃ意味ないだろう、もういいや、どうせ親父は宗教法人レッドチキンの教祖だから金はあるんだゲヘヘヘヘ・・」 店長は変だし、調理人は薄気味悪い奴だが、この店は近所の人達に人気があるのだ。一瞬居なくなったとしても、またやってくるのだ。懲りない連中なのだ。 「チキンが安いのは怪しい~ がんばれパーホーベン~・・・」 「もう勝手にやってくれよ・・・・、ああそれから、君に会いたいって人がきてるよ」 健一青年がチラッと客席を盗み見ると、またあの怪しげな団体がいた。店のすみっこで大量のチキンを食っていた。 「店長、やっぱり閉めましょう。今日はなんか仏滅です」 「それはないだろう、レッドチキン教団の経典である百戦錬磨では、今日はギャンブルするのにちょうどいい日なんだぞ」 「じゃあ僕はこれで帰ります」 「なんだ君は、あと五時間もあるじゃないか。悪いこと言わないからもうちょっといなさい」 「明日からもう来ません」 「一体どうしたというんだ」 「荷造りしないと、今までありがとうございました。ウスラハゲさん」 「俺はウラオモテハゲだ!」 健一は団体に気づかれないように、隠れながら店長と会話した。着替えて事務所に入って来たとき、ちょうど客が入って来た。 「チキンアトゴホンツイカー!」 「ほら、お客さんもああ言ってるんだから、もうちょっと揚げてってよ」 「帰してくれないなら、僕は死にます」 「何言ってるんだ。冗談のつもりらしいが、本気にしか聞こえないぞ」 健一は、店長の話も聞かずスタコラと外へ出て行った。 しかし、店を出る瞬間を団体にみられたのだった。 A氏は、実力のある人間は誰でも称賛する人なので、健一を自分の手で一流のレーサーに育てたいと心の隅で思っていたのだ。だから、A氏は健一のバイト先を調べてやってきたのだった。そして、健一のチキンを揚げる腕と歌にチョー感動して、絶対に一流レーサーに育てようと決心したのであった。 その夜、健一の部屋にあの団体が押しかけ、無理矢理契約を結ばせた。そして、その日のうちに健一は日本から消えた。 一年後。健一は脅威のスピードで、実力をつけていった。そして、A氏率いる『チーム特攻』のエースになった。一応シンデレラボーイになって、幸せになったので、よかったと筆者は思った。 《注》・レッドチキン教団世界にチキンとギャンブルを広めるべく設立された教団。集会などは一切行ってないので、危険性はない。教祖は麻倉鶏助。 ・チーム特攻トランス外人A氏率いるF1チーム。連戦連勝のメガトンチーム ・フィクションとノンフィクションが同居する女この作品の筆者であり作者。またの名を親切と不親切が同居する女。ホームページをもっているが、そろそろやめようと思っている。 |